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俺はとっさになにげないふりをしようとしたが、「そいつは藤、というのか?」としか言えなかったところをみると、かなり動揺していたようだ。 「それで、どうなんだよ?」などと、とりあえず言ってみる。 「ど、どうって……」 カウンターの狭い椅子の上で、宗吾は居心地悪そうに身じろぎして鼻の頭を掻く。 「そりゃあ、藤そのものさ」 半分に減ったビールのジョッキを見つめながら、宗吾はうっとりとした声で言った。 「へえ。どの辺が?」 俺は宗吾の横顔をまじまじと見つめながら馬鹿な質問をしてしまう。 「清楚な感じがなんともね、いえない色気があってさ」 いきなり部屋におしかけるような女が清楚なものか、とは思ったが、そんなセリフを吐いている宗吾の頭のほうが信じられなくて、俺は次の言葉をみつけられないでいる。 「俺だって初めは驚いたさ。俺の部屋にはもったいないし。でも、馴れてみるといいもんだよ」 あの、狭くて汚い部屋にはたしかにもったいない。いやそれよりも、おまえにはもったいなさ過ぎる話しだし、馴れるもなにも、そりゃいいに決まっている。などと、俺の頭の中だけで言葉がぐるぐると廻り、いっこうに声にならないまま廻り続けていると、なにがどうなったのか、宗吾の家に噂の藤を見に行くことになった。 「俺なんかが行って、邪魔じゃないのかよ?」 「なに、お前だから見てもらいんだよ」 宗吾は至極、上機嫌だ。これではいつもと立場が逆転ではないか。あの、宗吾の部屋に藤という女がいる。清楚でいて大胆不敵。俺にはとても想像ができない。想像できないのに、あれやこれやと想像してしまう。 「こりゃあお前、アレだな」 俺は感心して、やはりまじまじと見つめてしまう。 「アレとはなんだ。失礼だぞ。はっきりいってくれ」 宗吾は自信たっぷりに言い放つ。 「アレといえば、アレだよ。まあ、ようするに……」 「ようするになんだよ」 犬のような目で宗吾が聞いてくる。 「えらく絶妙な色香のある……富士さんだよな」 「おおともよ」 宗吾は嬉しそうに頷いた。 確かに、宗吾は「フジ」を、漢字で「藤」とも言わなかったし、「富士」が女だとも言わなかった。ようするに、俺がの頭が「藤」と変換したのがそもそもの間違いだったというわけだ。 ★★★★★★【アレな散文コンテスト 一休杯】★★★★★★ - 企画内容 - この中でアレな人は手を挙げて?はい、挙げなかったアナタ。 アナタは間違いなくアレ。 ってわけで、アレな散文を書いてTBして下さい。 アレな感じなら何でもアリ。 エントリー期限は7/2 23:59まで。 アレって何?と聞くのは禁句です。 - 参加資格 - アレな人、もしくはドン引きされる覚悟のある人 - 審査方法 - 一休杯なので、エントリー締め切り後にエキブロ代表のアレ、 審査委員長のikkyuu_as_cousakuさんが作品の審査講評をしてくれます。 ※アレでも参加出来るようにテンプレを文末にコピペお願いします。 開催地 毎日が送りバント (http://earll73.exblog.jp/) 審査員 Roller skates Park (http://cousaku.exblog.jp/) ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ アレって、やっぱりムズカシイですね。 ・・・っというか、こんなにTBあるのに、 いいのかな・・・と思いつつ、TBさせてもらいますす(^^;
by e--mi
| 2005-07-02 06:28
| kaku
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